特別の利益供与は禁止!
社会福祉法第27条において、社会福祉法人は「政令で定める関係者」に「特別の利益を与えること」が禁止されています。
政令で定める関係者とは?
社会福祉法施行令第13条の2に「関係者」が定められています。
①:当該社会福祉法人の設立者、理事、監事、評議員又は職員
②:①の配偶者又は三親等内の親族
③:①②と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
④:①から受ける金銭その他の財産によって生計を維持する者
⑤:当該法人の設立者が法人である場合は、その法人が事業活動を支配する法人又はその法人の事業活動を支配する者として省令で定める者
このうち⑤は設立者が法人である場合の、その法人の親子会社に関する規定です。多くの法人にとっては無関係と思われますが、詳しくは社会福祉法施行規則第1条の3に規定されています。
特別の利益とは?
特別の利益とは、社会通念に照らして合理性を欠く不相当な利益の供与その他の優遇をいいます。
例えば以下のようなものが該当するものとされています。
●法人の関係者からの不当に高い価格での物品等の購入や賃借
●法人の関係者に対する法人の財産の不当に低い価格又は無償による譲渡や賃貸(規程に基づき福利厚生として社会通念に反しない範囲で行われるものを除く。)
●役員等報酬基準や給与規程等に基づかない役員報酬や給与の支給
なぜ法定化されたか?
特別の利益供与の禁止は、社会福祉法の改定により法定されるに至りましたが、もともと「社会福祉法人の私物化を許さない」というスタンスでこれまでの指導監査なども行われてきたように思います。ルールを明確化するために法定化されたものといえましょう。
他方で明確なルールとなったのですから、これに抵触する場合には厳しい指導になることが想定されます。各法人で今一度の確認が有用と考えます。
最後に
特別の利益供与については、法人の理事・職員から「不当に高い金額って、どこまでがボーダーラインですか?」、「どこまでならギリギリOKですか?」などの突っ込んだ質問を“たまに”頂戴いたします。
思うに、指導監査など各種監査の担当者は、このような実質・実態ベースの判断を「市民目線」で行なうように思います。
如何でしょう?
その話は、法人の地域住民、利用者、利用者家族などに対して堂々と胸を張って言えることでしょうか?そのような視点から再考をされては如何かと思います。
他方、堂々と胸を張れることなのでしたら、各種監査の際も泰然と主張してほしいと思います。

大塚健一

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