社会福祉法人の資金収支計算書と貸借対照表の関係は?

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資金収支計算書と貸借対照表はつながっている?

事業活動計算書と貸借対照表につながりのある点についてはご存知の方が多いのですが、資金収支計算書と貸借対照表がつながっていることをご存じない、または知ってはいるけれど実はよくわからない、という法人の経理ご担当者様は多いように思います。

つい先日も筆者が関与している法人様から質問を受けたこともあり、今回のコラムでは社会福祉法人の資金収支計算書と貸借対照表のつながりについて記載します。

 

どの数字も一致しないのですが…

事業活動計算書の末尾と貸借対照表の純資産の部に共に記載されている「次期繰越活動増減差額」の金額は必ず一致することになります(もし一致しなければ何かが間違っています)。このように科目名称も金額も一致している項目があるため、上記のとおり事業活動計算書と貸借対照表がつながっている点についてご存知のご担当者様は非常に多いです。

他方、資金収支計算書と貸借対照表で科目名称が一致する項目はありませんし、金額が一致する項目も(たまたま一致したという場合を除いて)ありません。そのため、資金収支計算書と貸借対照表のつながりは非常に分かりにくくなっています。

しかし、一目で一致が確認できる項目ではないものの、足し算・引き算をすると必ず金額が一致する部分があります。

 

金額の一致を確認してみましょう!

貸借対照表の流動資産の合計金額に、

①流動資産の「徴収不能引当金」の金額を足す(マイナスを戻す)。

②流動資産の「貯蔵品以外の棚卸資産」の金額を引く(具体的には「医薬品」、「診療・療養費等材料」、「給食用材料」、「商品・製品」、「仕掛品」、「原材料」)。

③流動資産の「1年以内…」項目の金額を引く。

④流動負債の合計金額を引く。

⑤流動負債の「…引当金」の金額を足す。

⑥流動負債の「1年以内…」の金額を足す

以上の足し算・引き算の結果、算出された金額を「支払資金」といいます。

この支払資金の金額が、資金収支計算書の末尾の「当期末支払資金残高」と一致することになります。

 

支払資金ってなに?

人によりイメージが異なると思いますが、“資金”というと現金預金のことをイメージされる方が多いかもしれません。社会福祉法人会計でいう「支払資金」は現金預金よりも少し広い概念になります。詳細な算出計算は上記の通りなのですが、ざっくり言うと流動資産から流動負債を差し引いた数値に調整を加えるようなイメージです。

別の説明をすると、現金預金に、通常はすぐに入金されることになる“事業未収金”などの流動資産を足し、通常はすぐに支払うことになる“事業未払金”などの流動負債を差し引くと、少し未来の入出金を先取りした資金概念になることがおわかりいただけますでしょうか。

社会福祉法人会計ではこのような資金概念を用いているのです。

 

支払資金のことが理解できていると…

社会福祉法人用の会計ソフトを使っていると、通常は会計伝票を起票することで資金収支計算書を作成してくれます。それはあらかじめ自動連動で資金収支用の伝票を起票するように科目マスタの設定をしているからです。

通常ではない仕訳を起票した際など、マスタ設定をしていない勘定科目の仕訳を起票すると貸借対照表と資金収支計算書の“つながり”が無くなってしまうことがよくあります。そういった際に支払資金というものがどういうものであるのか、資金概念の範囲はどこまでなのか、といったことを理解していないと、どこで間違えているのかを理解することができません。

そして支払資金のことが理解できましたら、次に「間違えている箇所の効率的な見つけ方」に話を移していきたいのですが、それは次のコラムで説明させていただきます。

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大塚健一
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