公開価格はブックビルディング方式で決まる
上場する際に最初に設定される価格(公開価格)はブックビルディング方式で決定されるのが主流と言われています。
ブックビルディング方式とは、引受主幹事となる証券会社が仮の発行条件を機関投資家等に提示して、投資家の需要状況(価格がいくらであれば投資を行うか)を調査し、その需要を積み上げて(ブック=「予約」をビルディング=「積み上げ」て)価格を決定する方法です。
仮条件の決め方
では、証券会社が投資家に提示する仮の発行条件(「仮条件」=発行価格の上限と下限をレンジで提示)はどのようにして決まっているのでしょうか。
仮条件は、一般的には以下の算式を参考に決定していると言われています。
IPOディスカウントは、20%~30%のディスカウントを行うことが一般的(市況や主幹事証券会社のスタンス等によって左右される)で、予想当期純利益は基本的には上場時に公表する業績予想数値を用いることになります(上場申請時期によってはその翌期の数値を用いる場合もあります)。
重要な変数である「同業他社の平均PER」は、どのような会社を同業他社として選定するか(場合によっては上場している同業他社が存在しない場合もある)や上場時の市況によっても大幅に変動することになります。
また、発行体の業種や業態によっては、そもそも上記の算式を用いない場合もあります。
したがって、あらかじめ上場時の時価総額の精緻な予想を行うことは困難ですが、とは言え公開価格の目安や、そもそも上場可能な自社の利益水準や上場時期を考える上では知っておくべき考え方と言えるでしょう。
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金井重高
代表 : 金井公認会計士事務所
大手監査法人におけるIPO部門及び証券会社の引受審査部での知識・経験により、IPO支援業務に特化して業務を展開しております。
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