よくある質問
「うちは法人税法上の収益事業があるけど、この収益事業による課税収入がほとんどないから、消費税はかからない(免税事業者)ですよね?」
このように消費税の計算範囲を誤解された質問をよく頂戴します。
全然違います!!
“法人税法上の収益事業”と“消費税計算の範囲”とは全く関連性がありません。
ちなみに筆者は、税理士でもこのような誤解のもとで消費税の確定申告をしてしまっているケースを見たことが何回もあります。
貴法人はいかがでしょうか?
では、非営利法人の消費税の計算範囲って?
一般企業と同じで“法人全体”です。
「うちの〇〇事業は税金がかからない、って税務署の人に教えてもらったんですけど」
こういうお話もよく聞きます。
では、その“税金がかからない”というのは、
①:〇〇事業は“法人税がかからない”事業(非収益事業)、という意味なのか。
②:〇〇事業のメインとなる収入は、“消費税がかからない”収入だ、という意味なのか。
両者は意味合いが全然違います。
別の言い方をすれば、税金が対象となるかどうかは「法人税」・「消費税」別々に把握する必要がある、ということです。
非営利法人の消費税計算で次に注意すべきことは?
非営利法人の消費税計算で、次に注意すべき事項です。
非営利法人の場合、行政からお金をもらって事業を実施しているケースが多く見られます。
ここで、よく見られる消費税の誤解ですが、実は契約上は業務委託契約(=課税取引。場合によっては非課税取引)なのだけれども、「行政からの収入なのだから補助金のようなものでしょ」という理解のもと、“受取補助金”などの科目で決算書において計上しており、結果として“課税売上としていない”ケースです。
これが本当に頻繁にあるのです。
過去からずーーーーーっと、どエライ消費税額の計算間違いをしていたりします。
どうですか?
貴法人は大丈夫ですか?
(…ビックリして、冷汗かいている税理士事務所の職員さんもいらっしゃいませんか??)
これも非営利法人特有な項目です!
一般の企業には無くて、非営利法人に特有な消費税計算は、何と言っても“特定収入の調整計算”です。
調整計算がどのような計算かというのも重要なのですが、この計算は相当複雑ですので別の機会にさせて下さい。
…というのも特定収入関連のミスは、調整計算のもっともっと手前の入口部分、つまり“特定収入の判定でミスしている”ケースが非常に多いからです。
特定収入は補助金や寄附金などが一般的には該当しますが…
特定収入の判定でありがちなミスは?
▶補助金(=特定収入)だと思っていたら、実は委託契約(≠特定収入)であった。
▶給与に対応する補助金だから特定収入に該当しないと思っていたら、実は補助金の全てが給与(=不課税取引)に対するものでなく、一部に従業員の健康診断料などの課税取引に対応するものが含まれていた(⇒使途不特定の特定収入に該当)。
▶“使途特定の特定収入”というのは、使途が“課税仕入に充当させる”ことが決まっている特定収入のことであるのだが、誤って「特定収入のうち、使いみちの決まっているもののことでしょ」という認識をもってしまっている。
などなどです。
法人さんにもよりますが、これらのミスがあると、消費税計算に結構な金額的影響を与えることが多いです。ご注意下さい。
最後に
今回の記事に、ヒヤッとした法人のご担当者(会計事務所のご担当者も??)もいらっしゃるかもしれません。
非営利法人の消費税は複雑ですのでキチンと計算できているか、確認してみるのも良いかもしれません。
なお、ここでいう非営利法人とは正確には“消費税法別表第三”に掲記されている法人のことで、公益法人や社会福祉法人などです。
最後に、こんな計算ミスをしている税理士さんもいらっしゃいましたので、ご紹介したいと思います。
非営利法人ではない株式会社なので、特定収入の調整計算をするはずがないのです。ところが、行政からの補助金が多かったから誤解されたのでしょうか、見事に特定収入の調整計算をなさっておりました。
開いた口が塞がらなかったことが思い出されます。
大塚健一
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