税制関係

相続手続のスケジュールについて

 

前回は遺言を作成する際のポイントについて触れましたので、今回は相続手続全体のスケジュールについて述べていきたいと思います。

 

申告までの具体的なスケジュール

 

  1.  被相続人の本籍地、死亡地、届出人の住所地のいずれかにおいて、医師作成の死亡診断書とともに死亡届を提出します。
  2. 申告直前であっても遺言書が発見されると手続をやり直しになるので、まずは遺言書の有無から確認します。
  3. 公正証書遺言以外の遺言は家庭裁判所の検認を受ける必要があります。なお、封がしてある場合は家庭裁判所で開封することが必要です。先に開封してしまっても遺言書が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料処分を受けますので留意が必要です。
  4. 遺言書を確認した後は、相続人が生まれたときから死亡時まで連続した戸籍謄本等を取り寄せて相続人を確定させます。
  5. 相続は資産と負債を包括的に承継するため、まずは被相続人所有の資産と負債を明確化し、遺産調査のために財産目録を作成する必要があります。
  6. 財産目録が完成すると債務超過か否かが分かりますので、債務超過の場合は相続放棄をし、債務超過か否か不明な場合は限定承認(資産超過の場合だけ相続すること)をします。なお、相続放棄または限定承認をする場合は、相続開始の事実を知った日から3ヶ月以内に被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
  7. 被相続人が確定申告をしなければならない人の場合、相続人は相続開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告を実施しなければなりません。
  8. 遺産調査のために実施した財産目録を基に、相続財産の評価を実施する必要があります。
  9. 相続財産の評価が完了した財産目録を基に、遺産分割協議を実施する必要があります。
  10. 協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成する必要があります。なお、遺産分割協議は相続人全員の合意により成立しますので、後々のもめ事を回避するためにも、相続人全員の合意を証明できる形式(署名及び実印での押印)で作成する必要があります。
  11. 協議がまとまらず不成立の場合は、家庭裁判所に申立てをし、調停・審判による分割を行います。
  12.  分割完了後は、不動産等の移転登記や名義変更を行います。
  13.  全ての手続が完了しましたら、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告・納税を行います。なお、延長申請は以下の特別な事情であれば最大2ヶ月の延長ができますが、期限が到来してしまうと延滞税(期限後2ヶ月以内は年7.3%、2ヶ月超は14.6%)や無申告加算税(税務署から促される前は5%、その後では50万円までは15%、50万円超は20%)等が発生しますので、暫定でも期限内に法定相続割合で分割したと仮定して申告しましょう。

 

相続税の申告まで10ヶ月もありますが、全ての手続が完了するには短い期間となりますので、早めの対処を心がけましょう。

 

今回は相続手続全体のスケジュールについて記載しましたので、次回以降で相続財産の具体的な評価方法について述べていきたいと思います。

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石川大祐
IPO支援や決算支援、非営利法人関係や財務DDなどの幅広い業務領域で展開する一方で、企業の役員や内部監査等、企業内部からの支援を展開しております。