WAM NET(ワム・ネット)で各種データが公表される
平成29年度の社会福祉法人の現況報告書等の内容の集約結果が、独立行政法人福祉医療機構が運営する情報サイトWAM NET内で公表されました。
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/zaihyou/zaihyoupub/aggregate_results.html
サービス活動収益の規模別の法人の割合は?
同サイトによると、サービス活動収益の規模別の法人の割合は、1~2億円が最も多く26.6%であり、平均は約5億4千万円とのことです。
また、同じく10億円超は10.1%とのことです。サービス活動収益が10億円超の法人はいずれ会計士監査の対象となることが予定されています。つまり社会福祉法人のうち約10%が会計士監査を受けることになる予定だということですね。
社会福祉法人の経営状態について
社会福祉法人の経営状態に関する各種データも公表されています。
社会福祉法人の方がよくご興味を持つ指標として、人件費率が挙げられます。人件費率とは、サービス活動収益に対する人件費の割合のことです。
同サイトによると人件費率の全国平均は66.5%、中央値は69.1%とのことです。筆者の経験からも大体7割前後という法人様が多いと感じておりますので納得です。
ほかには経常増減差額率なども公表されています。サービス活動収益に対する経常増減差額の割合のことです。一般的には法人の利益の獲得能力を表す指標といわれています。
社会福祉法人は営利追求を主たる目的とはしていないものの、将来的に設備の改築コストが必要となるなど、中長期的には一定の利益の確保を要する法人もあります。そういった法人には有用な指標になるかもしれません。
ちなみに福祉医療機構とは
本データを集計開示している独立行政法人福祉医療機構とはどのような組織なのか、ご存じない方向けに説明いたします。
福祉医療機構は、WAM NETによる社会福祉法人の情報開示を含めて以下のような事業を行っています(福祉医療機構のサイトより)。
●社会福祉施設及び医療施設の整備のための貸付事業
●施設の安定経営をバックアップするための経営診断・指導事業
●社会福祉を振興するための事業に対する助成事業
●社会福祉施設職員などのための退職手当共済事業
●障害のある方の生活の安定を図るための心身障害者扶養保険事業
●福祉保健医療情報を提供する事業、年金受給者の生活支援のための資金を融資する事業●年金資金運用基金から承継した年金住宅融資等債権の管理・回収業務
など。
最後に
上記の各種データは今後の法人運営に役に立ちそうでしょうか。
思うに、社会福祉法人は設立時の資金負担や資産の持ち方などが様々ですので、同一事業・同規模の法人だからといって、十把一絡げに他法人のデータとの比較が有用とは限りません。各々の法人が、自法人に適した運営上のポリシーを持つことが何より重要でしょう。
大塚健一
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