これから会計士監査の対象となる予定の社会福祉法人様へ
2017年度より、事業活動計算書のサービス活動収益の合計金額が30億円超など一定規模の社会福祉法人については、社会福祉法に基づいて公認会計士による法定監査が課されることになり、既に1年目の監査がスタートしています。
そして会計士監査の対象は監査対象となる社会福祉法人の範囲は徐々に拡大していくことが予定されています。
このコラムでは、まだ監査対象となってはいないが、これから対象となる予定の法人様向けに会計士監査には通常は年間でどれくらいの時間を要するのか、についてイメージを掴んでいただくべくコメントしていきます。
監査時間の統計は日本公認会計士協会から公表される
私たち公認会計士が法定監査を行なうと、年度ごとに会計士協会に年間監査結果を報告することになっています。この結果には年間の監査時間も含まれます。そして、後日会計士協会より年間の監査時間などの統計データが公表されます。
<監査実施状況調査(平成28年度)>
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20180118gie.html
社会福祉法人についてはまだ公表されていないものの…
社会福祉法人の法定監査については本コラム記載時点では、まだ1年目の監査が終わっていないため、統計データは今のところありません。
ただし、社会福祉法人以外の非営利法人の実績がある程度の参考にはなるでしょう。
例えば、学校法人のなかの「高校・中学・小学校法人」は一定の参考になるように思います。
※学校法人のなかでも「幼稚園法人」については、1園などの小規模で監査対象となっているところが非常に多いので、ここでは「高校・中学・小学校法人」を参考にしました。
上記の統計データによると、高校・中学・小学校法人の「事業活動収入計」が20億円以上の法人についての1法人あたりの年間監査時間(平均)は、約300時間とのことです。1日7時間と計算すると約43日になります。
この全てが法人様への訪問というわけではなく、監査事務所での作業時間も含まれますが、とは言え1年間で43日です。
結構多いと感じる法人様もいらっしゃると思いますが、これが実績です。
念のため
監査時間の多寡は、各法人の事業展開や複雑性、内部統制の状況などにより変わってきますので、上記はあくまで参考情報である点にご留意いただき、詳しくお知りなりたい法人様は公認会計士にお問い合わせ下さいますよう、お願い致します。
最後に
上記のように多くの時間をかけて会計士監査は行われます。我々公認会計士からすると、監査ルールに則って監査を実施すると自然と時間が費やされるイメージです。
そのため、監査によって法人様のことを深く理解し、多くの或いは内容的に深いアドバイスをさせていただくことが度々あります。
ぜひ、そのような公認会計士とお付き合いされてはと願うところです。
大塚健一
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