コラム

事業停止した子会社の清算について

ベンチャー企業が拡大するにあたり、事業部門の子会社化や、新規事業を子会社設立により、進めることは多くあります。
しかしながら、様々な事業開拓を進める上で、成功・拡大する事業がある一方、想定と異なり、縮小・閉鎖に追い込まれる事業・子会社も発生することがあると思います。
今回は事業停止により解散・清算を行う会社のお話です。

 

会社清算までのスケジュール

会社を清算することとなった場合、以下のスケジュールでの清算を行う事となります。
こう見てみると意外と会社を清算するまでに必要な手続きは多いと感じるのではないでしょうか。

手続区分 スケジュール 留意事項
解散手続 株主総会による解散決議
官報公告および催告 解散した場合、解散の日から2週間以内に官報公告を行う事が必要です。(会社法499条)
解散日から2か月以内の掲載及び知れたる債権者への催告が必要です。
解散公告は号外公告となるため、申込から2週間ほど掲載に時間がかかります。
解散及び清算人の登記申請 解散日から2週間以内の登記申請が必要です。(会社法926条)
解散届の提出 期限は設けられておりませんが、解散日後遅滞なく提出することが必要です。
解散事業年度確定申告書の提出 解散日から2か月以内
解散時の財産目録および
貸借対照表の株主総会による承認
清算手続 債権申出期間の満了日 個別催告及び官報掲載による催告の日から2か月間の猶予を確保する必要があります。
残余財産確定日
新宿税務署および東京都に
最後事業年度にかかる確定申告書提出
残余財産確定日から1ヵ月以内
決算報告の作成及び株主総会による承認 株主総会をもって清算結了となります。
清算決了の登記申請 株主総会後2週間以内
清算決了届の提出 期限は設けられておりませんが、清算結了後遅滞なく提出することが必要です。

 

もし官報公告を行わなかったら??

解散した場合において、官報公告の掲載は会社法にて義務付けられておりますが、あまり関係者の多くない小規模な会社を清算する場合などには、債権者の申し出期間を2ヵ月確保しなければならない事もあり、公告が行われず清算手続がされる事が多くあります。
このような場合、どのようなリスクは生じるのでしょうか。

 

清算結了の否定

官報公告を行わずに清算手続を完了した場合、債権の除斥を行わず清算手続を行う事になるため、清算結了後に債権者が残存している事が判明し、支払いを求められた場合、清算事務は未了であり、会社はいまだ存続し、清算結了登記を行ったことが誤りということになります。
この場合、清算結了登記を一旦抹消し、改めて清算手続を完了させた上で、清算登記を行う事が必要となります。
そのため、面倒でもできるだけ官報公告は行うようにしましょう。

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石栗樹
ベンチャー企業から上場会社まで監査業務や各種アドバイザリー業務(決算支援、M&A支援等)行ってきた経験を活かし、ベンチャー企業の管理部で管理体制の強化を行っております。