監査報告書の作成日付
まずは、監査報告書の作成日付を明らかにします。
その日付まで監事は監査を行ったことになります。
監事の監査の方法や監査の内容
実施した監査について、その内容などを明らかにします。
監事の監査には大きく分けて、①会計監査と②業務監査の2つがあります。
会計監査は、最終的に法人が作成する決算書が正しいか否か、という視点で行う監査です。決算書そのもののチェックはもちろんのこと、その作成プロセスにおける法人の内部チェック体制が十分であるかについても対象となります。
業務監査は、理事の職務執行が適法であるか、という視点で行う監査です。理事会等に出席し、チェックの目を光らせることが大切でしょう。
決算書が適正か?
法人の作成した決算書が下記3つの状況を適正に示しているかについてチェックを行います。
・資金収支計算書で示される法人の収支の状況
・事業活動計算書で示される法人の純資産の増減の状況
・貸借対照表で示される法人の財産の状況
ここで「適正」とありますが、これはミスが一つもないという意味ではありません。重要な誤り(不正を含む)が無いという観点になります。
監査報告書でよく用いる硬い表現を使うと、「(上記の3点の状況について)全ての重要な点において適正に表示しているか」という視点で監査を行う、ということです。
必要な監査ができなかった場合
万が一、監査のために必要な調査ができなかった場合にはその内容を記載します。天災による致し方のないケースや、年度末付近で異常事態が生じてその結論が出せないケース、そして、あってはなりませんが法人の理事や職員から監査の妨害、例えば資料の未提示などがあったケースなどが想定されます。
これらのように監査ができない事態が生じた場合には、その旨とその理由を監査報告書に記載することになります。
追記情報
①会計方針の変更
②重要な偶発事象
③重要な後発事象
これらが存在したケースで、監査の判断に関して説明をする必要がある場合や、決算書の内容のうち強調する必要のある事項が生じた場合には、監査報告書に追記情報として記載することになります。
最後に
監事の方から「今まで監査報告書に書いてある内容が全然分からなかったけど、言われるがままサインしてきた」などと聞くことがよくあります。
新制度の下、監事も一定の責任を負うことになっていますので、上記の概略を把握して監査に挑んでいただければと思います。
大塚健一
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