新車は固定資産に計上しなければならないため、経費化に時間がかかる
車輌を購入したら固定資産計上しなければなりません。そのうえで、例えば普通の営業用車両であれば6年(耐用年数)にわたって税務上損金算入(減価償却)することが認めらています。
また、会計上も減価償却は税務に従って費用処理されます。
4年落ちの中古車を節税につかうロジック
有名な節税方法に4年落ちの中古車を買うという方法があります。
なぜ4年落ちの中古車が節税になるかというと、以下の計算方法により1年当たり償却率が100%・・・つまり1年で全額償却できるからです。
中古資産の耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
=(6年-4年)+4年×20%
=2年9ヶ月
≒2年(1年未満切り捨て)
耐用年数2年の定率法償却率はなぜか100%となるため、1年で全額経費処理つまり節税につかえるという訳です。
4年落ちの中古車が節税に使えるというウソ
①あまり節税にはならいない
そもそも固定資産を買った場合、支払ったお金は数年かけて経費になるので、支払う税金の総額そのものは変わらない。ただし利益や資金収支のタイミングをずらすことは出来る。
②厳密には4年ではない
計算方法から考えると、耐用年数が2年になるのは4年落ちではない。3年10か月落ちで耐用年数は2年になる。
③どうせ買った期に全額経費にならない
始めに述べたように中古車も固定資産であり耐用年数にわたって費用処理する必要がある。
1年で100%費用処理できることの意味は、今期に全額経費になるわけでは無く1年間の月割りで経費処理が出来るにずぎない。
④会計方針が定額法だと半分になる
固定資産の償却方法には定額法と定率法があるが、耐用年数2年での償却割合が100%なのは定率法であり、定額法は50%である。
会計方針は1度採用すると簡単には変更できないため、これまで車両を定額法で償却してきた会社は年間50%分の経費処理となる。
このスキームの使い道を考える
このスキームに税金軽減効果はありません。また資金繰りが厳しい会社の場合には収支のタイミングのずらせるメリットがありますが、むしろリースにするべきだと考えられます。
さらに、このスキームは即時に全額経費処理が出来るわけでは無いので、期末付近で利益が出ることが分かっても費用処理できる金額は残月数分となり、利益調整にもあまり使えません。
したがって、信用力の問題からリース契約を組めない会社や大規模な製造設備の更新を中古資産でも行える会社にあっては、中古資産の耐用年数を利用して資金余力を作り出すことを検討したいですね!
最後に留意点
この制度は、中古資産の取得時に改良等を加えた場合には上記の算式は使えません。また、前期以前に買った中古資産にも使えません。ご注意ください!!

黒木信吾

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