2017年8月30日に東証マザーズに上場したYoutuberを中心とするクリエイターのマネジメント業務などを行っているUUUM㈱について、Yahooニュースに載ったりと世間でも少し話題になったので調べてみました。
やはり会計士たる者、まずは、業績の推移から見てみる。
業績の推移をみておきながらなんですが、まずは設立4期目で上場というのがスゴイ!!だいたいマザーズに上場する会社は設立10~15年目が一番多いのですが、4期目というのは異常なスピードですね。
売上高の成長スピードが異常に早いですね。これは設立当初からかなり練りこまれたビジネスモデルが土台にあり、その後はそれを軌道に乗せるような動きをしてきたのだと推測できます(そもそもこんなに早くスケールできるようなビジネスモデルを思いつく社長がスゴイ!!)。特に2期目!!前期の10倍ですよ。すごいですよね。ただ、売上は順調に伸びていても最終損益は赤字、営業CFも赤字です。赤字でも会社は潰れませんが、お金がないと会社は潰れてしまうので、営業CFのマイナスは由々しき問題だと思われます。しかし!!3期目で無事営業CFもプラスに転じることに成功しています。なおかつ、ここで400Mをデッドで調達してますので財務CFが大きくプラスに動き資金的な余裕がある程度できていると思われます。そして、従業員も増えてきてオフィスが手狭になってきたから本社を増床するか!ってことで4期の投資CFがマイナスになっていますね。ちなみに本社は六本木ヒルズ森タワーの37階です。イケイケですね~、うらやましいです!!
やはり、会計士的には第3期で利益を出して営業CFをプラスにしたところがキーポイントかなと思います。ということでせっかくなので、Ⅰの部の経理の状況を見てもう少し詳しく分析したいと思います。
まずは下表をご覧ください。
売上総利益率の推移をみてもそれほど異常性は感じませんが、営業利益率の推移をみると第2期に何かがあったということが一目瞭然です。売上総利益率はそれほど変動がないのに営業利益率が異常な変動となっているため、原因は販売費及び一般管理費にあるということが明白です。ここで下表をご覧ください。
はい、完全に異常な推移ですね(笑)。第2期は売上の約4割が販管費として使われているのでそりゃ利益は出ないし、キャッシュもプラスにならないよねという事がわかります。では、なぜ第2期はこんなに販管費の割合が大きかったのでしょうか。その謎を解くべくPL注記を見てみると…
会計士的には業務委託費がものすごい減少していることが気になりますが、それはさておき、売上高販管費比率が高かった原因は正社員の給料等の人件費を完全にカバーできるほど売上がまだ立っていなかったという事ですね(=固定費の回収が追い付かなかった)。ただ、会社としては第2期を投資フェーズと位置付けて思い切って将来のための投資をしたのでしょう。第3期にはきちんと利益が出るようになっていますので、経営者としては売上が早い段階でスケールすることはかなり高い確率で見えていて、正社員をガッツリ採用しても絶対に大丈夫という自信があったことが推測できますね。いやー、私も独立して仕事をしていますがここまで大胆に意思決定できるのは本当すごいなと尊敬します!!
まだまだ数値面で調べたいことは山ほどありますが、キリがないのでこの辺にしておきます(笑)
次回は、ビジネスモデルについて調べていきたいと思います。次回もよろしくお願いいたします。
以上
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松浪静
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